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Africa!

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2014年2月20日木曜日

白熱灯論

夜の静かになった時間に電源のある談話室で記事を打っていたら、停電になった。代わりに昼の間に充電された太陽電池ランプが灯った。あーぁ電池も長く持たないからダメかな、と思っていたらフランス人のベテラン旅人が前の席に座って話しかけてきた。

このフランス人には色んな旅のアドバイスをやティップス貰っており、少し一人にしてくれないかなぁ、と思う程にお節介なところもあるが、いろんな話を聞かせてもらっていた。私がトイレで気張っていたって、ドアの外から話しかけてくるんだぜ。頷いているのか気張っているのか分からなかったよ。
両津勘吉みたいな恰好で(そういやハラレでもマレーシアの両津勘吉にお世話になったな。私はどうも両津勘吉に好かれるらしい)ぼろぼろに破れたズボンに当て布を何度も縫い付けたものを履いており、またボロボロのビニールも石鹸で洗って干していたりと、さぞかし名のある倹約家に違いない。

少し言葉遣いが、fuckingやshitなどをしばしば挟むので荒く感じるが、彼の持ち物を大事にする姿からは、とても実直に生きている人であることが窺える。日本人のことはJapと呼んでしまうけど、ほとんどの場合、直後にJapaneseと言いなおすので、あまりよくないというのは感じているのだろう。でも勢いで言わずにはおれん、といった様子が面白い。よくJapは無礼だというが、それは使い方次第だと思う。通常Japを使う人はもともと言葉が粗いなぁ、って感じるので、すべてを見る目が厭世的であるので、特別に日本を蔑視しているようには聞こえない。

さて話を戻そう。彼が私の前に座って議論を吹っかけてきたのだ。何の議論かって?モラルについて、科学だけではなくスピリチュアルなものを取り入れるべきだとか、そこから宗教の話になった。更に日本やアジアの宗教や文化にスピリチュアルな要素が多く残されているという話になり、そこから日本人の性質について話し始めた。宗教の話はいささか危険なテーマだが、だからこそ面白い。その人の人間性を作る大本が隠れていたりするからだろうか。

日本人の性質に話が行ったときに、日本人はどうしてそう開放的ではないんだ?と言われた。宿で日本人に出会うと決まって会話に混ざってこないし、外国人よりも日本人を信用しているだろう?と言われた。むむぅ、それは否定できない。他のバックグラウンドが同じなら、私も外国人よりも日本人を信用してしまう。それは文化を共有するから言葉に出さなくてもわかる何かがあるからだろう。

西洋の文化と日本の文化には大きなき違いがあるのを感じる。西洋ではとことん話して話して議論してその人を理解し、互いに歩み寄る。ネゴシエーションの文化も西洋のものだ。日本は言わずもがな、行動で示せ。話して理解するよりも、その人の振る舞いを見て解する傾向が西洋に比べ強い。何事にも善悪があり、どちらがいいという話ではないが、現在の日本は自分たちの欠点に気付き、改善しようとしている。個人的にはベラベラしゃべくりまくって主張する姿は好きではないが、言葉を使って自己を上手く表現できる人はスマートに見える。

そしてこんなことも言われた。
日本人は横柄だ。宿で話に混ざってこないのも外国人を見下しているからだろう?と。
これには正直面喰ってしまった。話に参加しないことがそういう風に取られるのか!そして一人の日本人として、日本人が議論や英語が苦手なこと、そして失敗を恐れる傾向が強いことを引き合いに出して一生懸命ありきたりな弁明をした。しかし納得してもらえず、単なる言い訳にしかならなかったようだ。
更にぶっ飛んで、
「その外国人を見下す性質が二次大戦時の日本の在り方に繋がっているんじゃないか?ナチスやファシストと同じだ」とまで言われた。これはちょっと飛躍しすぎだ、さてはお主、日本人が嫌いだな?と密かに思っていた。
「でもちょっと待てぃ、お主ら西洋が取っていた帝国主義自体が同じようなもんじゃないのか?あの時代はどこの列強だって似たようなもんでしょう?日本が特別だったとは思えないけどね」
論点のすり替えに違いないのだが、あまりにも自分らの話を棚に上げて論じてくるのでそう反撃せずにはいられなかった。

外国の人と歴史の話をすると感じるのは、歴史ってのはかなりその国ごとに見方が違うんだな、ということだ。歴史は過去の出来事というよりも、現在が作っている、ということを実感する。

人間は信じたいものを信じる傾向がある。歴史認識は事実だけではなく、現在生きている人の価値観や気持ちを積み込んでいるので科学のように統一して書き記すことが難しい。

日本と韓国、日本と中国の間の問題も毎回非生産的な対話ばかりが報道されていて、不毛だなと感じることがしばしばだ。
「これは私のペンである」「いやこれは五年も前から私のもだった」「いいや、このペンは現に私が持っているではないか」「いやいや、それはあなたが私のポケットから奪ったからだろう」「いいや、落ちていたんだ」

これで問題が解決するのだろうか?

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