さだまさしの「雨やどり」はちょっとした日常を風船のように膨らませて幸せを描いた傑作だと思う。何よりも靴下の穴だとか日常の隅っこに隠れている「可笑し可愛さ」をうまく拾っているのがいい。
エチオピアは雨期だ。なんか通る国通る国が雨期じゃないか、と感じるのは「自分が恵まれていない」バイアスのせいだろうか。しかし幸運な事にエチオピアではいつも走り終えた頃に雨はやって来る。今日は早めにアワサHawassaに着いた。昼飯食べて(4種のフルーツジュースが層状に重なったジュースは掘り出しものだった)宿について水浴びて洗濯して(今日の宿は洗濯サービスがついていた)、銀行でドルをビルに替えて、街に繰り出した。
黒い雨雲とそれに伴う突風が砂とゴミを舞い上がらせて街は賑やかだった。ただでさえ「China!」「ユーユーユーユー!」で私にとっては賑やかなのに、こうなるともうカオスに放り込まれた気分だ。
黒い雨雲とそれに伴う突風が砂とゴミを舞い上がらせて街は賑やかだった。ただでさえ「China!」「ユーユーユーユー!」で私にとっては賑やかなのに、こうなるともうカオスに放り込まれた気分だ。
街角でインジェラの上に茹でじゃがいもを載せている女性の姿が目に入った。自転車を漕いでいるときは殆ど常時、ハングリーモードなので、さっき食ったじゃありませんか、お爺さんというくらいに腹の記憶は悪い。ついさっき食ったばかりなのに、もう次の獲物を探している。
女性が手に持ったジャガ芋をスプーンを使って器用に皮剥く様は私の何かを刺激してしまった。でも店構えがテーブル一つに椅子一つだったので、あれ、これは店ではなくて女性が自分のご飯を用意しているだけなのかなと思った。言葉が通じないので、これが店なのかどうかも判然としない。もし店ではなく女性のプライベートな空間で、それが彼女のご飯だった場合、私はどうしようもない食い意地の張った浮浪人だ。人の飯をくれと言ってるんだから。なんとかジェスチャーでやり取りしていたら、私がどうしようもない食い意地の張った浮浪人ではないことがわかった。よかった。
今日の空模様のようなグレーのインジェラの上のヒヨコみたいに小さくて黄色いジャガイモ。その上にお尻が痛くなりそうなベルベレが載せられた。ベルベレとはエチオピアの七味唐辛子みたいなもので、十数種類ものスパイスを混ぜた赤い粉だ。市場に行くと女性たちが家庭の味を並べて賑わっている。このベルベレは各家庭で混ぜるものが違う、謂わば母から娘へ受け継がれる家庭の味なのだ。そしてこのベルベレを使ってカレーのようなシュロ(豆の粉でとろみが付いている)、ワット(辛いシチュー)、アイバ(フレッシュチーズ)にも混ぜたりその他そのままベルベレと呼ばれるコチュヂャンや辣油みたいなものに使われる。後で出てくるヨーグルトにもかけて使われる。とにかくいろんな料理に関わっており、エチオピア料理には欠かせない材料だ。
女性が手に持ったジャガ芋をスプーンを使って器用に皮剥く様は私の何かを刺激してしまった。でも店構えがテーブル一つに椅子一つだったので、あれ、これは店ではなくて女性が自分のご飯を用意しているだけなのかなと思った。言葉が通じないので、これが店なのかどうかも判然としない。もし店ではなく女性のプライベートな空間で、それが彼女のご飯だった場合、私はどうしようもない食い意地の張った浮浪人だ。人の飯をくれと言ってるんだから。なんとかジェスチャーでやり取りしていたら、私がどうしようもない食い意地の張った浮浪人ではないことがわかった。よかった。
今日の空模様のようなグレーのインジェラの上のヒヨコみたいに小さくて黄色いジャガイモ。その上にお尻が痛くなりそうなベルベレが載せられた。ベルベレとはエチオピアの七味唐辛子みたいなもので、十数種類ものスパイスを混ぜた赤い粉だ。市場に行くと女性たちが家庭の味を並べて賑わっている。このベルベレは各家庭で混ぜるものが違う、謂わば母から娘へ受け継がれる家庭の味なのだ。そしてこのベルベレを使ってカレーのようなシュロ(豆の粉でとろみが付いている)、ワット(辛いシチュー)、アイバ(フレッシュチーズ)にも混ぜたりその他そのままベルベレと呼ばれるコチュヂャンや辣油みたいなものに使われる。後で出てくるヨーグルトにもかけて使われる。とにかくいろんな料理に関わっており、エチオピア料理には欠かせない材料だ。
そのインジェラの上のジャガイモを頬張り始めたと同時に雨が降ってきた。露店の女性が別の店の張り出した屋根のあるスペースに案内してくれた。それにしても彼女のベルベレは辛いぞ。なかなか情熱的な家庭に違いない。女性は小雨の間はしばらく外でジャガイモを剥いていたが、雨が大粒になり激しくなると彼女も軒下にジャガイモのたらいを抱えて逃げてきた。屋根はところどころめくれてしまっているため、激しい雨は入ってくる。更に強くなったところで私は店に逃げ込んで、この店の名物のヨーグルトを貰った。カウンターの棚にはグラスに入った牛乳が30個ほど律儀に並んで発酵中だ。冷蔵庫には今食べる分のヨーグルトが入ったグラスがこれまた礼儀正しくズラリとスタンバイしている。既に椅子に座って食べている年配の夫婦が「フレッシュで美味しいわよ」と促してくる。ピッタリとくっついて座る夫婦はヨーグルトを食べながら楽しそうに話していた。
ひとグラス5ビル(25円)。手頃な値段が嬉しい。少し雑味はあるが程よい酸味でサッパリしている。さっきのジャガイモのベルベレで舌が熱かったので冷えたヨーグルトが心地よい。ヨーグルトの表面には脂肪分の層があり、それがクリーミーで旨い。ベルベレを振りかけて食べてみる。ヨーグルトに七味はかけないが、なんとなくそんなのもありのような気がする。
ひとグラス5ビル(25円)。手頃な値段が嬉しい。少し雑味はあるが程よい酸味でサッパリしている。さっきのジャガイモのベルベレで舌が熱かったので冷えたヨーグルトが心地よい。ヨーグルトの表面には脂肪分の層があり、それがクリーミーで旨い。ベルベレを振りかけて食べてみる。ヨーグルトに七味はかけないが、なんとなくそんなのもありのような気がする。
先の女性は雨が強くなって軒下に吹き込んでもじっと堪えている。店の中には入ろうとしない。店の主人とは知り合いなのだろうが、それに甘んじようとはしない。おそらく彼女は固定した店を持っていないので、裕福な方ではない。着ている服も地味だ。しかし彼女の佇まいには凛としたものを感じるし、着ている服には清潔感がある。雨が繁くなるのをじっと見つめる彼女は美しかった。
雨やどりは人の出逢いのちょっとしたオアシス。アムハラ語を使えたら私はもっと雨やどりを楽しめたに違いない。
日本に帰ってから雨やどりするか。きっと日本で雨やどりしても一人ぼっちになりそうだが。誰か一緒に雨やどり、しませんか?
雨やどりは人の出逢いのちょっとしたオアシス。アムハラ語を使えたら私はもっと雨やどりを楽しめたに違いない。
日本に帰ってから雨やどりするか。きっと日本で雨やどりしても一人ぼっちになりそうだが。誰か一緒に雨やどり、しませんか?
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