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Africa!

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2014年8月20日水曜日

0820 蜘蛛は見ていた

宿に辿り着いた時には雨が降っていた。赤道に近いとはいえ、標高が2,000mを越えると雨が降ればそれは氷雨だ。ギリギリでその氷雨にモロに打たれずに済んだのは、坂に続く坂を一生懸命漕いだおかげだろう。
宿の若い男性はオーナーだろうか。片言の英語で「英語はダメ、アムハラ語だけ」と言った。エチオピアに入って少々不便を感じるのはやはり言語だ。今までの国では初等教育から英語を使っている所がほとんどだったので、なんだかんだ言っても結構通じた。しかしエチオピアでは英語は日本語並みに通じない。日本語使って感情込めて言ったほうが通じたりして。でもその通じないことがとても新鮮で、面白い。食堂に入ってメニューを見ても料理名の文字数しかカウントできない。文字数と値段でそれがどんな料理か想像するのもなかなか面白いが、いつもなんとなくジェスチャーと妥協でなんとかなってしまう。
宿の若い男性と会話にならぬ会話をしていたら、別の男性がやってきた。放送局で働いている彼は英語が通じた。二人で話していたら若い男3人に囲まれた。英語が使えなくてもこうやって物怖じせずに入ってくる姿勢は見習わないとな、と思う。
宿の若い男性が水浴び場に案内してくれ、近くの釣瓶式の井戸から水を汲んで用意してくれた。既に6時を過ぎていたので服を脱いだだけで肌寒い。水浴び場は木を組んで囲っただけ。蜘蛛が組まれた木と木の間に美しいまでの住まいを作っちゃったりして、呑気にやっている。水に触れるのも躊躇われる程だが、汗で吹いた塩がベトつききもちわるいので、水浴びしないという選択肢は人としてどうか。こんな時だけ蜘蛛が羨ましい、一日中温かそうな巣の中で獲物を待っているだけなんだから。いや、私は人間だ。思い出すのだ。水浴びの後のあの温もりある幸福を。
水を浴びている時の不快さを取り消せるだけの心地よさがあるからこそ、人は寒い中でも水を浴びる。足し引きして結果的にプラスになればいいのだ。蜘蛛よ、君もそんなところに糸なんて張ってないで、足し引きしたまえよ。いや、蜘蛛も足し引きしてた結果、こんなところに巣を張っているのだろう。世の中みんな足し引き。全く世知辛い世の中だよ。

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