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Africa!

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2014年6月12日木曜日

自転車のある風景1

ここまでの旅を自転車とともに振り返ってみようと思う。私も色々な人に出会ったが彼もまた色々な人に出会い、乗られ、褒められ、きっと幸せだったに違いない。もう少し楽しもうな。

南アフリカ


プレトリアのバス停にて。旅の始まりにわくわく。しかしバスの荷物でぞんざいに扱われて壊れはしないか、一抹の不安はあった。



ケープタウンのカラードが多く住んでいるボ・カープにて。ねぇ僕にもその自転車に乗せてよ! 街角に座ってぼんやりしていたら元気のいい子供の声を掛けられて。




緩やかな丘陵が続く道にて。黄色い可愛い花のじゅうたんを見ながら走った、気持ちの良い日々。




西海岸の海沿いの町。呑兵衛に捕まった。。。



幹線道路の脇にて。まだ旅が始まったばかりで野宿にビクビク。木の陰に隠れたつもりだったが完全に見えていたな。朝目覚めたら朝日が美しかった。

ナミビア

 南アフリカとナミビア国境に流れるオレンジ川を越えたところ。世界でも最も降水量の少ない地域。暑いんだけど、乾燥しているから日陰は涼しくて気持ちいい、、、と思ったら日陰になるものが何もなかった。




時々ある四阿とごみ箱にほっとする。あづまやカタツムリになりかけた。



 ナミビアって砂漠で平らかと思ったら岩山がずーっと連なっていた。


誰もいない草原を独り占め。と思ったらオリックスとスプリングボックがいた。夕方はギュムギュムと鳴く虫の演奏、日の光が失せると空気が静かになり、漆黒に鏤められた光の粒の微かな奏でが聞こえてくるようだった。


黄昏にパンク修理。砂漠を走っていたころはそこらじゅうが泊まる場所だったので楽だった。この夜は車に乗った牧場のオッちゃんが野宿の私に気付いて声をかけてきた。しかしよく気が付いたなぁ。標識からぶら下がっているのは体臭のきついボコムちゃん(川魚の干物。南アからずっと一緒だった)標高が高かったため朝方は冷え込んだ。足元に可憐に咲く小さな花が朝日に輝いていた。



いつも美しい橙の夕日が迎えてくれた。


 毎日雲が一つもないので空のてっぺんから地平線まで色のグラデーションをいつも見ていた。少し空が暗くなると月に始まり、惑星たち、そしてシリウス、カノープスなどの星々、なんとなくもやっとマゼラン星雲が現れる。



 この辺りが一番過酷だったかもしれない。砂がこんなに憎らしく思えるのは今後はないと思われる。それでも道があることに感謝する毎日だった。


家畜が出てきたら何となくほっとする。


 おい山羊君、それは君の食べ物じゃないよ。君には草があるだろう。ボコムちゃん狙いの山羊。


 長い長い未舗装砂漠地帯を越えて、海沿いのワルビスベイヘ。内陸の砂漠は杏色の砂、海沿いは白砂。海沿いも少し内陸に入ると乾燥しているから砂丘だらけ。



砂丘の反対側はなーにもない。


海辺町スワコップムント。ナミビアの第二の都市。自転車で散歩していたら土産物商に捕まった。俺の自転車と交換しようぜ。嫌だよ。


 海辺はしっとりしていて植物もたくさん。樹木は少ないけど。一面のアイスプラント。


 内陸の町オタビ。協力隊の方とその友人と楽しいひと時。


 牧場内にて。牛糞に囲まれて。まるでタンポポのように生えていた。警備員のおじさんが言葉は通じなかったが色々気にかけてくれる人でよかった。



 内陸のこれまた乾燥地帯にて。牧場のおじさんに泊めてもらった。ここの水はミルクティーが分離するほど個性的な味だった。


 ヘレロ族のおばちゃんと。家族旅行の帰りでおしゃれしていた。頭の角はヘレロの女性の特徴。あ、実際に角があるわけじゃないよ。イミテーション。



 ナミビアも北部のアンゴラ国境付近、カプリヴィは緑が豊かだ。モパニの森。やっぱり緑が近くにあるとホッとする。


こうやって木の下のベンチで休憩するのがなんだか日常的で嬉しかった。


ボツワナ

 カサネのザンベジ川畔にて。家族連れが釣りをしていた。そこへ孫を連れたお爺さんがやってきて、さらに若い母親も子供を連れて、、、桟橋はあっという間ににぎやかに。


野生動物の多い公園を抜けてまた何もないところへ。この時期は水が干上がり、白いひび割れた大地がむき出しになっていた。


静かな時間を独りでゆっくりと過ごすことができた。




 第二の都市フランシスタウンにほど近い村にて。一つの屋根を貸してくれた。雨が降ったのでありがたかった。


ジンバブエの国境に近い町の警察署の敷地を貸してもらって。珍しい客を見に婦警さんがやってきた。



2013年12月7日土曜日

ライオンに喰われるよ

相当疲れが出てきていたがKasaneまで行って休息を取ろうと出発。



新緑が曇りの柔らかな光に美しい。林床に若草が茂っている様は日本の苔寺を彷彿させる。

点在する村を、Money、Sweets!などというBGMを聞きながら、ンゴマNgomaに近付く。

ミルクを二つ自転車のハンドルにぶら下げた男にで出会った。彼もやはり車輪の軸がぶれた自転車を漕いでいた。ナミビアで見た自転車は悉く軸が歪んでおり、車輪が回転するたびにプルプルと左右に揺れているのだ。もともとも部品の質があまりよくないのだろう。私の一漕ぎが彼らの二漕ぎも三漕ぎにもなる。

前方から雨雲が現れ突然の大雨となった。

まさしくバケツをひっくり返したとはこういうことだ。通り雨と見て、丁度良い軒下を見つけて雨宿りした。そこには小学生から高校生くらいの子供が数人私と同じように雨宿りをしていた。高校生くらいの青年がすぐそこに国境が見えていることを教えてくれる。前方の木が鬱蒼と茂っている丘が見える。そこはすでにボツワナだ。

雨がやみ空が明るくなった。ところどころに雲の切れ目があり、澄んだ青が眩しい。雨で黒く湿った道路に水溜りができ、そこへ輝く入道雲が映っている。それを自転車の車輪が切って乱すのだが、もったいなく思われるほどに美しかった。


国境は広い湿地(雨季は川になるのだろうか)にあった。湿地を突っ切る高くなった道路の両側は一面緑の草に覆われ、牛や人が点々といた。


No Mans Landではないのか?さっき遠くから見た小高い丘の林には異様な風体のバオバブが他を圧倒して聳えている。緑が濃くなったのを感じる。


ボツワナ側では獣類のペストコントロールが行われており、水が張られたプールに自転車のタイヤを付けろ、と言われた。しかし、なんだか深そうだ。先の雨で嵩を増したに違いない。「深くてバッグが濡れるんじゃないか?」と言ったら、農薬散布用のポンプを持ってきて処理を施してくれた。危うくバッグが薬漬けになるところだった。

入管所に行くとチョベ国立公園内は自転車では走れないよ、と言うではないか。なんとっ!聞くとライオンが結構いて危ないから、とのことだった。そう言われると通るわけにいかないのでヒッチハイクをするしかなくなった。あまりメジャーな国境じゃないので車がほとんど来ないここではすぐに捕まえられないだろうと、公園のゲート前で一泊しようと思ったら、ボツワナ側の今日泊まる場所を教えないと入国させてあげないと、女性管理官がふざけて意地悪そうに言う。


「公園ゲート前で」と言うと、「それはダメ、ちゃんとした場所でないと」とまた正論を振りかざす。
しょうがないのでメモしてあったカサネのキャンプ場を教えて、今日中にカサネまで車をつかまえて公園を抜けることを条件に入国させてもらった。本当に車が捕まるのだろうか。心細くなっているところへ別の非番らしい男の管理官が現れた。彼がこの後私を救ってくれるのだ。彼は私としばらく話をした後、来る人来る人に「彼をのっけてやってはくれまいか?」と尋ねてくれたのだ。しかしやってくるのは小さな自家用車ばかりで自転車を積めそうなものはやってこない。そうこうしているうちに彼がどこからか自転車を積めそうな車の持ち主を連れてきてくれた。彼はこれに乗れ、と言うがゲート前までしか連れていってくれないらしい。それじゃ意味ないじゃん!入り口までなら自転車で行けるしそこまで行ったら更に車を捕まえにくくなるじゃないか。と思って渋っていると大型トレーラーがやってきた。
これは行ける!と思って近寄ろうと思ったら助っ人の彼がすでに声をかけていた。ドライバーは「$100ね」と意地悪そうに笑っている。冗談なのか、本気なのか、「あわよくば」といった感じだろうか。こっちは真剣だ。
「冗談はよしてくれよ、頼むよ」と懇願していると、
「まぁいいから積む準備をしろ」とOKが出た。
高く積まれた木材の上に自転車をしっかり固定し、荷物をトレーラーの脇腹のトランクに押し込んだ。座席が自分の身長よりも高い位置にある大型トレーラーだ。梯子を上るように車に乗り込む。初めての経験に少しワクワクした。最高の乗り心地だ。座席の後ろ側には二段ベッドが備え付けられており、彼は長距離運転の場合はここで寝ているのだそうだ。もう一つは現地妻の?と冗談めかして聞くと、「俺は妻がいるからそういうのはできないよ、妻子はンゴマに置いてきている」と思った以上に誠実な答えが返ってきた。ナミビアを旅していて南アの文化(一口に南アのとは言えないが)ほど恋愛が「自由ではない」ように感じた。あまり多妻の男性を見かけなかったし、夫婦が歳をとっても一緒に暮らして一緒にいる風景を多く目にしてきた。一対一の関係が比較的継続しているというか。


ゲートをくぐってすぐにキリンのお出ましだ。ドライバーは先週はライオンが6頭ゲートのそばにいたのを見たという。そういう話を聞いていると、ふむ、これはさすがに生身の体を晒して走るのは怖いな、と思った。
道の両側は木々が濃緑に染め、下草には動物が何度も通ってできた径が幾筋も通っていた。暫くすると象が5頭、そしてキリン、象、、、大型動物は豊富だった。が、肉食動物は見られなかった。

走行中ドライバーが車の写真が入ったチラシを見せてきた。インターネットで車を買ったのだという。今は日本から輸送されるのを楽しみに待っていると。彼が購入した車を見せてもらうと、なんと実家で使っていた車と同じトヨタのレジアス、色も同じ。ナンバープレートには「つくば」と入っている。
「いい車か?」と聞かれたので、無難に「乗り心地はいいよ」と答えておいた。こっちで走っている乗合タクシーと比べればどんな車も乗り心地はいいに決まっている。日本からの輸送料など色々な手数料込みで30万円くらいだ。他にもMarkⅡなどの有名どころが並んでいる。ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、ザンビアでの日本車の人気は極めて高い。彼の持っていたチラシのディーラーは日本車を専門にしていた。南アフリカは自国に工場があり(日本車の)それらを守るため、日本からの中古車輸入を制限している。しかし、他の国はその制限がないので中古車がじゃんじゃん入ってきておりそこら中を日本車が走っている。特にトヨタの車は各部品も安く簡単に手に入るので人気だ。この日本車の人気とは逆に日本人の存在感は極めて低いのも面白い。まず聞かれるのは「中国人か?」だ。中国人のプレゼンスの方が圧倒的に強い。ただ、中国人に対するイメージは芳しくないものもしばしば耳にする。日本のイメージは良くも悪くもなく、ゼロといった感じか。ただ、日本のことを知っている人は比較的好印象を持っているようだ。まぁ私が日本人なので気を使って、いいように言っているのかもしれないが。。。


自転車で一日かかるところをたったの一時間弱で車は走ってしまうことに理不尽さを感じながらトラックを降りる。辺りはすでに薄暗い。暗くなってからの見知らぬ土地での行動はあまりしたくないが仕方がない。ドライバーがいくらでもいいからくれ、と言うので、余っていたナミビアドルを渡した。ヘッドランプを頭の前後に付けカサネの町の中心向かった。町の入り口で降ろされてしまったため2kmくらい夜道を走らされる羽目になった。ガソリンスタンドを見つけここにテントを張っていいか尋ねるが、マネージャーが不在で許可できないと断られ、警察署はどうか、と行ってみたらあまりに立派で気が引けてしまい、つい「キャンプ場はないか?」と弱気なことを聞いていた。ソロモンという大層な名の気のいい警官が親切にキャンプ場まで連れていってくれた。

キャンプ場は豪華なロッジに併設された大きな場所だった。スイートルームまで用意されている観光客向けの宿だ。アフリカには観光客向けの宿しかないのではないか。ソロモンは「明日仕事が午前中に終わるからカサネを案内してあげる」と言って暗がりの中去って行った。結局翌日彼は現れなかったがボツワナに入ってすぐに彼らのホスピタリティーを感じた。出来事だった。この日は夜八時を過ぎてようやくテントを張ることができた。すでに疲れ切っていた。