「すぐ自転車置いてきて、サプライズよ」とアンが言う。
落し物を拾いに行ったため無駄に70kmくらい漕いで汗をかいていたので一風呂浴びたかったが、アンの言う通り車に乗りこんだ。
車はどこへ向かうのやら、車高の低い車(ライオネルがスポーツカー好き)の助手席に乗って、穴ぼこだらけのブラワヨの高級住宅街を走っていた。
5分位で人の家へ着いた。
「今日は友人の結婚記念日でブライ(南ア式バーベキュー:ジンバブエでもナミビアでもそう呼ばれるらしい)をやるわよ」
とアンが言う。「え、私が行ったら迷惑じゃない?」と聞くと、
「もう、ヨウはLovelyね」と言われた。
ふむ、こんなひげ面でもラブリィになれるものか。。。と一人ニヤニヤしていると、あっという間にその友人のところへ連れていかれ、ホームパーティーの輪に入っていた。
パーティーは本当にアットホームな感じで、友人家族親族とライオネル夫妻。と私。子供を合わせてみんなで15人くらい。
友人とはライオネルと同じカラードのご夫婦で、子供たちがアジア人のような顔立ちでびっくり。
長男のクレイグ(26)なんて私の弟に似ていて少し親近感が湧いた。
また、クレイグの話し方がとても穏やかで、我々三人(ライオネルと親父のニコ)ががっはっはと下品に話している隙間に、小さめの優しい声でなかなか大事なことを言う。
少し恥ずかしがり屋なのかもしれない。三人の輪から少しはみ出たところにちょこんと座っている。
彼が気の利く奴でビールやウイスキーを進めるもんだからかなり酔ってしまったよ。
マラリア予防薬とお酒はあまり相性が良くないって言われているのに。。。
旦那のニコさんがサザを作っていたので見せてもらった。
取っ手の長い琺瑯の深手鍋を電気調理器の上で作っていた。
ニコは額の汗を拭くが次から次へと汗が噴き出していた。
かつてボクシングをやっていたニコもサザを作るのは大変なのだ。
作っている間、彼はジンバブエの話をしてくれた。
政府軍(白人政権時代の)に所属していた彼はショナ族とンデベレ族が争い合っていた時代の話を詳しくしてくれた。
現在も政治家たちはショナ族派閥とンデベレ族派閥でいがみ合っているようだが、人民レベルではそんなことはどうでもいいと言っていた。
確かに私も少しジンバブエを回ってみて、ショナとンデベレの間に確執があるようには思えなかった。
人々はいたって平和なのだ。
ブラワヨ駅で出会った鉄道整備士も同じようなことを言っていた。
対立を生むのは人民ではなく、一部の政治家なのだと。
我々庶民にはどうでもよいことなのだと。
アフリカのブライは盛大だ。
厚さ1、2㎝の肉の塊がボン、ボン、ボン、とドラム缶を半分にして作った焼き網の上に置かれていく。
牛、鶏、豚、そしてボルスと呼ばれる70㎝はあろうかと思われるスパイスの効いたソーセージが焼かれていく。
そしてライオネルの家が魚屋だからスヌークと呼ばれる太刀魚のような魚のアルミホイル焼き。
南アもそうだったが、アフリカでは焼肉は全部焼いてから食べるもののようで、日本のように焼いたそばから食べていくというスタイルではない。
全部焼き終わってからそれを皿にとって座って食べるのだ。
何とも行儀がよい。
また、日本のように野菜を網で焼かない。唯一タマネギだけが初めの網掃除に使われるだけだ。
野菜は別に料理してあって皿にとって食べる。肉60%サザ30%野菜10%といった具合だろうか。
欲張りな私は全ての種類を皿に取り、てんこ盛りにしてしまったがみっともなかっただろうか。
日本人は卑しいと思われないように最大限努力はしているが、腹の虫にはどうにも敵わん。
いやいや、それにしても大変旨くて楽しい夕餉であったなぁ。
ライオネルの家に着いて布団に入ったら意識が飛んだ。
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