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Africa!

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2014年8月7日木曜日

水から離れて

ナイロビはマサイの言葉で"冷たい水"を意味する。ケニア山からの雪解け水がこの辺りに流れるからだろうか。そもそもナイロビ自体が標高1,700mあるので寒かった。昨日は産業都市Thikaを越えSaganaまでせわしない車の流れに乗ってきた。景色はあまり見る余裕はなかったが、Karatinaを越えた辺りから交通量は減り、景色は山並みを楽しんだり、また肉体的にいくつもの丘に苦しめられたりした。いくつもの現実的な近い山は見えているのに、いっこうにケニア山は雲に隠れて見えない。Karatinaの周辺は涼しく程よい湿気によりコーヒー栽培が盛んである。坂で気張っていたので気が付かなかったが、あの枝垂れた木がコーヒーだとレストランのおじさんが教えてくれた。なるほど後で良く見てみるとコーヒーの実がたわわに成っている。赤く色づき始めているのもあり、緑から赤への数珠グラデーションだ。
おじさんは誇らしげに言う。このコーヒーはアメリカやヨーロッパに持って行かれるんだ。世界でも有名なものなんだよ。
せっかくおじさんがNyeriへはいかずに国道を行くんだよ、と近道を教えてくれたのに、分岐に気付かずにNyeriまで行ってしまった。大きな時間ロス。しかもNyeriは山がちな場所で距離的には近くても時間を食ってしまった。だからバイパスがあるのだろう。今日中にナニュキNanyukiまで行こうとしていたが難しくなってきた。手前のナロ・モルですら危うい。国道に戻ってからは丘が緩やかになったので飛ばす。地平線に近くなった太陽が薄雲に隠れて薄暗い。上りばかりのコースに足が疲れて動きが鈍い。
さらに非常に喉が渇くことに気がついた。景色が変わっている!ボツワナ以来の乾燥地帯。木は背丈を低くし、草もカサカサして眠っているいる。遠くまで見渡せる大地。なんだかその景色に懐かしさを覚えて、ペダルを漕ぐ足に力が戻った。
交通量も随分少なくなり広大な黄昏を楽しむこよができた。と思ったら後ろから男が自転車で付いてくる。しかしケニアは沈黙のチェイサーではなく必ず挨拶があって抜かされる。この時も挨拶してしばらく話しながら一緒に走った。彼はナロ・モルの手前の町の友人宅に泊まるという。そこに着くと彼と別れ再び一人の爽快な走りになる。しかし暗くなりかけていたので些細な不安が頭に浮かんでくる。そんな矢先、ナロ・モルに着いた。そう言えばチャイナ!と呼ばれている自分に気付く。一時は黒くなりすぎて、彼らが持つチャイナの定義から外れていたが色が落ちたために再び彼らのチャイナ定義に戻ってきてしまったようだ。暗闇に溶け込んだ人々から発せられるチャイナ!チンチョン!の掛け声をかき分けて宿を探す。急いで見つけなければならなかったので、すぐに信頼できそうな男性に宿を聞いた。すると例の如く親切に宿まで案内してくれた。その彼の行動の全てに洗練されたものを感じると思ったらケニア登山のガイドだった。部屋は二階で自転車を担ぎ上げるのに難儀していたら彼がヨッシャと手伝ってくれた。そして今日は温かいシャワーを浴びることができましたとさ。

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