カメラマンとそのアシスタントたち |
町中に火力発電所!? |
駅にて列車を待つ人々 |
ジンバブエ第二の都市ブラワヨに入って少しフラフラしながら食べ物を探していると、雨が降ってきた。早く宿を探してしまおうとするが、雨足はどんどん強くなり、ついには大雨の激しい音と、どんよりとして暗い雲が排ガスと煤でくすんだブラワヨを更に灰色に深く沈ませた。私が逃げ込んだアーケードにも徐々に人が逃げ込んでくる。一向に弱まりを見せない雨に諦めて雨の中小走りで出ていく人もいる。待ち人は増えたり減ったり。ビールケースに腰かけて煙草を肴にコーラを飲んでいる白人のお婆さんは初めからそこにいる。彼女の着ているシャツはブラワヨの町のようにくすんでいてヨレヨレだ。ジンバブエでは南アやナミビアとは違い、都市といえども白人を見かけることは稀だ。ジンバブエに入って初めて目にした白人だったので、そのお婆さんのうらぶれた感じが、まるでジンバブエの白人を代表しているように見えた。(ジンバブエでは南アやナミビアほど白人が堂々と富を享受していないなぁ、とは道中で見かけたり、出会った白人の様子から感じた)
雨がとても止みそうにないので、合羽を着てバッグにビニールを被せてアーケードを出た。目星を付けていた宿がキャンプ場を持っていなかったので部屋に泊まるつもりでいた。三年前に出版された古めのガイドブックによれば5ドルで部屋に泊まれるという。これはしめしめと思って行ってみると、値段が4倍の20ドルになっていた。しかも朝食が付くと書いてあったのも、今は昔の話で、お湯は出ないし、受付の男もあまりやる気がない薄汚れた宿だった。これに20ドルも払う奴がいるのか?と思って見てみるとボツワナから来たという学生風の若者など多くの若い人の溜まり場になっていた。20ドルも払いたくなかったが、大雨の中また宿を探して動くのも嫌だったので一泊することにした(ジンバブエがいくら物価が高くなってきているとはいえ、20ドルも払えばもっといいところに泊まれる)。
体を清め、着物を清め、荷物の整理をして時間をつぶしていると外が明るくなってきた。初め薄汚れたイメージを持ったブラワヨが一気に活気づいてきたように見えた。街中を行き交う人々のその多さ、町を縦横無尽に走っているように見える車たち、そしてその間を縫うように野菜や果物を積んだ荷車を引く男たち。その喧騒に何だかしばらく忘れていたワクワクを思い出していた。車のパーツを売っている店、洋服や靴を売っている店、食べ物屋、お洒落なカフェ、そして雑多な通り。その通りには座って野菜や果物、干した小魚やピーナッツ、新聞に違法コピーのCDが売られている。シティホール以外には高層ビルは見当たらない。多くが四、五階建てくらいの古い建物で時折10階建てくらいのビルが見られる。
これまた寂れたカジノがあるではないか。建物が古い由緒あるものらしく美しい。中に入ってみると明り取り用の天窓が天井の中心にあり、薄暗い部屋を神秘的に冷たく照らしている。床に投影されたその光を囲むようにスロットマシンが20台ほど置かれており、カジノという言葉からイメージする華やかさからは何千キロも離れたようなひんやりとした場所だった。買い物袋を持ったおばちゃんが虚ろな目でスロットのボタンをテンポよく押している。スロットマシーンがあまりの寂しさにやってくる人間を吸収してしまったに違いない。おばちゃんも今はスロットマシンの一部だ。写真を撮りたかったが許しをもらえなかったので諦めて外へ出た。外の喧騒の方がよっぽど華やかではないにしろ明るかった。
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