自転車で旅していると、無性に乗り合いバスや電車という乗り物に憧れるものだ。
それはやはり、人の熱気を身近に感じられるからであろう。
パソコンの電池がある時にちらっとBulawayo(ブラワヨ)のところを見ていたら、
電車でビクトリアの滝に行けるとあるではないか。ブラボー
当初の予定ではビクトリアの滝を通ってジンバブエ、ザンビアに抜ける予定だったが、そうするとボツワナをちょびっとしか見られないという不満があり、急遽ルート変更をしてビクトリアの滝は爺さんになった時にとっておいて、ボツワナに深く入り込んでいたところだった。
そんな時にBulawayoから電車が出ているという発見。
ブラボー以外の何物でもない。ブラワヨー
しかも値段はガイドブックによると15USドルでファーストクラス、寝台。
数日前テントの中で一人、寝台に乗れる!と期待に胸を膨らませて行くことを即決していた。
さて、駅のチケットをどう購入するのか駅まで確認しに行ってみた。
Bulawayoは英国風の建物がずいぶん残っているという話だが、駅もまさしくそのようだった。
しかしこれと言って豪華に建てられたものと言うより、実用的な感じがした。
中に入ってみると明かりがなく薄暗い。
曇り空の白い光が入口より入り、冷たく床に反射している。
ホームからやってきたおじさんが、カメラを構えた私に「私を撮りなさい」と言ってくるので、
手に持っていた飲みかけの牛乳を床に置いて二枚ほど撮って牛乳に手を伸ばすと消えていた。
あれ、確かにここに置いたのに、とあたりを見渡すと冷たく床が光っているばかりだ。
インフォメーションデスクの人とその時目が合ったので、
「あっれぇ?ここに牛乳を置いておいたのに消えちゃったよ」と言うと、
「誰かに持ってかれちゃったかぁ」と笑っていた。
私も笑うしかなかった。まぁ、飲みかけの牛乳だからいいか。
しかしもし大事なものだったらと今考えると冷や汗だ。
気を付けないと。。。
ホームへは特に切符がなくても、誰でも入れるので、なぜかビリヤード台が置いてあり男たちが興じている。
駅はこれと言って電車が出入りをしてにぎわっているわけではなく、ビリヤードの男たちと、遠くの方で電車を待っている人たちを除けばがらーんとしている。
プラットホームが5つくらいあり、一番手前のホームを除いてどのレールにも貨物が停まっている。
どれも年季が入った代物たちだ。
もとは銀色だったと思われる車体がくすんだり錆びたりして、いい感じだ。
積んでいるのは石炭とコークス。
興味深くしげしげ見て写真を撮っていると、整備士と思しきおじさんが声をかけてきた。
「1950年代の貨物もまだ走っているんだ、材料はジンバブエのものだが全部英国植民地時代のものだ」と教えてくれた。
メンテナンスをしっかりして、ものを大事にしているということを誇っているのか、
それとも英国の遺物しかない、と嘆いているのか、はっきりと判断はできなかったが、
もしかしたらその両方が混ざり合った感情なのではないか、と今は思う。
ジンバブエは英国系の白人政権を終わらせ、さらにムガベ政権のファストトレック、英連邦からの脱退、そして現在アフリカンによる国づくりがゆっくりながら進んでいる。
この点は白人の資本や技術力をうまく取り入れている南アフリカとは異なっている点である。
南アはスマートな方法を選び、ジンバブエは泥くさい方を選んだということだろうか。
国にとってどちらがいいのか分からない。
また彼は同時に英国植民地時代を部分的には評価していた。
彼は言う。
「私は植民地時代に教育を受けたのだが、今の教育よりずっと良かったよ」
この言葉はかつて南アで働いていた時にの同僚からも似たようなことを聞いた。
「アパルトヘイト時代の教育の方が今よりずっと良かった」
彼らはもちろん植民制度やアパルトヘイトを肯定しているわけではない。
しかしおそらく多くの人が感じていることだと思うが、
教育やインフラに関しては明らかに植民地時代のそれよりも落ちている。
いや、落ちているというのはある意味では間違っているのかもしれない。
彼らはたった20年や30年前にようやくスタートすることができたに過ぎないのだ。
そしてその短い間に政変など様々な混乱の中で模索し、それぞれの国がそれぞれの方法で進んでいるだけなのかもしれない。
別のホームに回り写真を撮っていると駅の警備員が近寄ってきた。
「ここは写真を撮ってちゃダメだよ」
「え!?そうなの?ごめんなさい。じゃあ、全部消すね」と謝ると、
そこまではしなくてもいいと、でも撮るなら観光局で許可証貰ってきてね、と言われた。
そこまでして撮りたいものでもないのでそこは引き上げることにした。
切符売り場に行くと、料金が安くなっていたて12USドルだった。予約は当日のみだという。
しょうがないので明日買うことにして帰った。
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