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2014年6月10日火曜日

なつかしい香り

カンパラもまだ安いとはいえ、地価がどんどん上がってきている。町の中心部は商店やレストラン、高層のホテルなどの小さいスペースで商売のできるものが多く、広大な敷地を必要とする工場などは少し離れた郊外にあることが多い。レストランで利用するお持ち帰り袋のプリントを依頼するために夕凪の中、郊外へ向かった。


カンパラの中心街


都市といっても日本の東京のように高層ビルがどこまでも広がっているのではなく、ビルやモダンな建物があるのは本当に中心部のみだ。渋滞はカンパラにおいては毎度のことだがこの日は特にひどく、車で行こうとしたのを引き返し、ボーダ・ボーダ(バイクタクシー)にアリフと二人ひらりとまたがった。それをボーダ・ボーダマン(ドライバー)が制した。警察に捕まるという。そうなのだ、法律では二人乗り乗りは禁止されている。が、首都以外でそれを気にしている様子は感じなかった。というのも二人も三人も客を乗せて走っているのを見かけていたからだ。しかし考えてみれば危なっかしい交通手段である。乗客はノーヘルメットだ。自転車に乗っている時ですらヘルメットを被っていた私としては何だか頭が寂しいような気がする。

いやー、力を込めずともすいすい走るバイクは気持ちがいいものだ。また寒くも暑くもない夕凪を切って走るのはこの上なく心地よいものである。車は滞っているのにボーダ・ボーダはその隙間を縫うように進んでいく。

忙しい町を抜けると道は空いてスピードが出てくる。横をあっという間に通り過ぎてあいく町並みが茶色に変わってセピア写真のような雰囲気になった。トウモロコシを焼く煙の匂い、肉を炙る匂い、砂埃っぽい空気。そしてそれらの香りの中で人々の営みがある。今生活しているところよりも人が地面に近い感じだ。建物は平屋だし、店は地面に敷物をしいて開いている簡素なものが多い。家もどこからが内でどこからが外なのか判然としない。内と外の融合。

都会の生活の忙しさのためにしばらく忘れて仕舞っていた風景がそこにはあった。日本に帰ったらそういう風景や匂いを同じように忘れていってしまうのだろうなぁ。そのためにもしっかり記録に残しておかないと。お爺さんになって歩けなくなった時に読んだら空を飛んでいる気持ちにすらなれるだろう。と思って書いていこう。

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