ページ

2013年10月9日水曜日

フランスから来た

今泊まっている安宿は地球の歩き方に載っているため日本のバックパッカーがとても多い。
述べ10人以上と出会った。やはり外国で同じバックグラウンドを持った人に出会うと安心する。
また泊まっている日本人はすべて私と逆の順路(北から南)を取っているので、彼らが通った道が私がこれから通る道になる。皆たくさんの情報を持っているのでとても助かる。
中にはスキミングやマラリアになりながらも旅を続けている人もいる。皆ツワモノ揃いだ。
新参者の私はそういった様々な経験談を聞いては、毎回新鮮な印象をもらい、ますます期待に胸を膨らませている。早く出発しないと気持ちが熟れ過ぎてしまう。

今日はフランスから来たアーネストと話す。
昨日到着した彼は喜望峰から帰ってきたばかりの私の自転車を見て、「僕も自転車で旅したことあるんだよ」と話しかけてきた。
あまりフランス訛りを感じない英語で話す彼の眼はとても優しい。
落ち着いたブラウンの髪の毛にさわやかなブルーのシャツはきちっとしており、私の伸びた服とは違う。
彼は旅にはパソコンは持ち歩かない。なぜならそれに時間を取られてしまうから嫌なんだそうだ。

私もしばしば思う。
昔の旅人はとてもシンプルだったよなぁ。と。
ペンと手帳と必要最低限の荷物。
家電製品なんて持ってなかった。
今の私はパソコンに始まりデジカメ、それらの充電器、ラジオ、、、
もうコードがバッグの中で絡まってジャングルだ。

私もそういうシンプルなスタイルにあこがれるが、現代の生き方に毒されてしまったせいか、なかなか思い切りがつかない。
そんな話をとある人に話したら、「でもそのおかげで日本で待っている家族や友人が、安否を簡単に確認できるじゃない」と。
確かに。
でも筆不精の私はネット環境があっても、そのうちメールやブログを書かなくなるんだろう。
そして安否がわからなくなった家族から、「死んだか?」とメールが来て「生きている」と返す。
言ってしまえば私は芯のない、ちゃんとしていない人間なのだ。


アーネストは色々なことを教えてくれた。
パソコンを使ってちょっとした悪いことも教えてくれたし、フランスのこと、ヨーロッパのこと、彼の旅した国の話などしてくれた。
3週間ほど日本にも行ったことがあるようで、日本のこともよく知っている。
和牛が信じられないくらい異次元なものであったこと(いい意味で)。
日本人が朝まで飲んで始発で帰ること、
日本の呑兵衛のオジサンたちがやたらとお酒を「さぁ、呑め飲め」とふるまってくれたこと。
両替の時のお金の数え方がとても素晴らしかったこと、
などを教えてくれた。

意外と日本に住んでいると、こういうことって気づかない。
だから外国の方が日本に来て、日本をどのように見るのかを聞くのはとても楽しい。
それによって気づかない日本の良さや、不思議さ、欠点が見えてくる。

とにかくアーネストは日本をとても楽しんだようだ。
一番楽しそうに語ってくれたのは、酔っぱらって始発で何度も目的駅を乗り過ごしたことだったが。。。

それから天気予報を一緒に見ているときに、風速の話になり、m/sからKm/hに瞬時に変換して、どのくらいの風の強さで、それだと自転車だったら大変だとかって話になり、
私は「へぇ」となってしまった。
今まで天気予報で風に着目したことはなかったし、風速~m/sと言われてもピンとこない。
そもそも私の中には風の強さを表す単位なく、強いか弱いかしかなかった。
アフリカのある言語が5以上を表す数詞がないのと似ている。
しかし風速をKm/hに直せば自転車で走る時にどんな風に感じるか比較的実感として持ちやすい。
数値から感覚に落としていくあたり、とても理知的な人だなぁと感じた。


そして私が夕飯を作り、彼はビールをおごってくれた。
久々のビールがさまざまな記憶とともに喉に染渡った。

0 件のコメント:

コメントを投稿