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Africa!

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2014年2月5日水曜日

じいさん

走っているととてもみすぼらしく沈んだ様子で道端に佇むおじいさんが目に入った。一度は走りすぎたもののその雰囲気のインパクトが私を戻らせた。彼はこの辺りでは珍しく英語を話せた。もしかしたらローデシア時代に教育を受けたのかもしれない。

普通のザンビア人よりも肌が黒い。その肌に白い髭と髪が目立つ。ザンビアではあまりお年寄りを見かけなかったこともあり、彼の姿が目にとまったのかもしれない。しかし歳はまだ50代だという。彼の身に何が起こったのか?少し話した後に「写真を撮らせてほしい」とお願いするが断られた。彼は言った。
「君は何でも持っているが私には何もない。君はその撮った写真でお金を手にするだろうが私は何も得ない」
しばしばそういう風に言われることはある。お前はジャーナリストか?それでいくら儲けるんだ?などなど。
そりゃ私も撮った写真で金を稼げればそんな嬉しいことはない。しかし世の中そんなに甘くはない。毎回そう言われるたびに説明している。私はジャーナリストでもなければ、プロのフォトグラファーでもないと。単なる旅行者だと。撮った写真で金儲けなんてしようとは思っていない、と。寧ろマイナスだ!と。
このお爺さんに説明していると変な若者が絡んできたのでその場を去った。

去った後しばらく考えていた。彼の身の周りの何もなさ、潔さ。そして私の自転車を見て可笑しくなった。まったく生きるために何を積んでいるんだ、こんなに。結局持てるものは持たぬものと同じ立ち位置には行けないのだろう。どう頑張っても。

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