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2014年7月4日金曜日

お金の力

私は子供の頃、自分は正義のヒーローになると思っていた。全身タイツは少し不服だったが、まぁそれも正義のヒーローという栄誉の前には些細なものに思えた。そんな私も今では賄賂を使うまでに汚れてしまった。いや、汚れたなんて思っていない。それが普通なのだと。そうやって自己肯定しているうちに、子供のころに持っていた確固たるヒーロー像は裸眼で見るよりも不鮮明に、霧中一町先を見るがごとくあやふやだ。正直言って正義なんてないんじゃないかと思う今日この頃だ。正義とは何か?
あぁ、これはもう末期、サンデル先生の白熱講義を受講するしかない。

ウガンダのビザは三カ月分だったので少し延長する必要があった。申請書にはカンパラでの滞在先と請け合い人の情報を記す必要があった。素直に今働いているレストランを書けばいいのだが、就労許可もなくレストランに滞在しているというのは些か不審だろうという事で、何でも屋に依頼することになった。まぁ働いているのではなく知人のお手伝いだといえば切り抜けられるだろうが、あまり面倒は起こしたくないということでアリフがいつも世話になっている何でも屋に任せた。

何でも屋は色んなコネクションがあり、もちろん移民局にもコネクションがある。申請の日、移民局で何でも屋と会う約束をした。移民局について電話を掛けるとルーム3に行けという。普通申請をするところの建物の裏側にルーム3があった。あまり人目には付かない。ルーム3に入るとそこには何でも屋ではなく、何でも屋の友人である仏頂面の事務員がいた。私が挨拶し「パーシーに紹介されてやってきた」と言うと、彼は相変わらずの仏頂面を貼り付けて唐突に「パスポートと言う」。むむ、慣れている。今まで何人がパーシーに送られてきたんだろうか。そして事務員は私のパスポートを持って消えた。
そしてすぐに延長許可のスタンプを押してもどってきた。

エチオピアビザを得るためにパスポートを日本に送る必要があったので、先月早めに延長申請をしにやってきたときは、窓口のおばちゃん「まだ有効期限きれないでしょ、なんで延長申請必要なの?ダメよ」と前もって何かをするという概念に乏しいアフリカらしい主張で、私が事情を説明しても聞き入れてくれなかった。そんな頑固なイメージが移民局にはあったのでこのあっさりとした感じに拍子抜け。なんだお金をちょっと払えばずいぶんあっさりやってくれちゃうんだな。

お金こそが正義。そういう世界もきっとどこか世界の片隅にはあるのだろう。

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