ルワンダはLe Pays des Mille Collines(千の丘の国)と呼ばれるだけあって、丘に次ぐ丘で自転車乗りを気持ちよく懲らしめてくれる。あまりに丘ばかりなのでここではマラウィやザンビア程の自転車ポーターはいない。そのルワンダの首都はキガリで丘と丘をまたいで広がっている。独立まではブルンジよりのフイェがルワンダの中心都市だったが、独立時に位置的に中心にあるキガリが首都として据えられた。なので今でもフイェは最高学府やその他様々な学校があり学都として、洗練された雰囲気が漂っていた。
遠くにキガリの街を望む
一方キガリはもともと谷沿いに人々が暮らしていた場所が首都となり、新しく建物を建てる場所がないから谷から丘へ上るように商店やビルが建った様子を呈している。キガリでは自転車はほとんど走っていなかった。あまりに坂が急で自転車は使い物にならないのだろう。その代りバイクタクシーはじゃんじゃん走っていて、それがキガリという町を大変忙しそうに見せていた。またこのバイク野郎が親切なのだ。ちんたら走っている私に笑顔を投げてくれたり、道に迷って困っていると声を掛けて助けてくれる。二輪同士仲良くやれそうな気がするよ、君らとは。いや、しかしね、ルワンダのフレンドリーさはいいんだけどこれだけ沿道に人がいる中でこんなにフレンドリーだと、私、前に進めませんが。。。あっちこっちから「ムズングー」やら「シュー(マラウィあたりからだが、人を呼んだり気を引く場合はこのように息を歯にこすらせて音を出す。日本の静かに!のシーに近い。女性は使わない)」で私を呼ぶのだ。こればかりは、たまに無視させてもらった。車の音で聞こえなかったことにして。
キガリにスーパーマーケットがあると聞いて行ってみた。スーパーマーケットなんてマラウィ以来だ。キガリのスーパーマーケットは私の期待を越えてくれた。普段目にしないようなお菓子や食べ物がある。南アからやってきているフルーツやお菓子。しかしそれ以上にルワンダで作られた食べ物の存在が目を引いた。ルワンダはコーヒーの産地であるのは有名だが、蜂蜜も有名らしい。小さい店でも蜂蜜は置かれていたがスーパーマーケットには十種類くらいのルワンダ産蜂蜜が並んでいた。ルワンダの蜂蜜は色が黒い。日本で見るような黄金色ではなく焦げ茶色だ。買って食べたがとても蜂蜜らしい味でコクがあり旨かった。ラベルには「ハチ達は500gの蜂蜜を作るのに200万の花を訪れ、90000kmにも及ぶ距離を飛ぶこともある」とちょっとしたトリビアが面白い。またゴーダチーズの塊も冷蔵庫のあるところでは小さな商店でも見かけたので、これもルワンダの特産品かもしれない。味に偽りのない、正直なチーズだった。それからヨーグルトのような酸味のある発酵乳。ヨーグルト+αな味だったが表現が難しい。悪くはなかった。
都市気分を少し味わって山登りに向けて出発。来た道を少し戻ってから北西へ向かう。ルワンダの西の果てコンゴとの国境に標高が4000mを超す火山国立公園がある。キリマンジャロはブルンジ、ルワンダ、ウガンダを巡るために断念したのでせめて高いお山を拝見したいとの思いでこっちの道を取った。素直にキガリから北上すればあっという間にウガンダなのだがね。そのふもとまで行くにはまた2000mまで標高をあげなくてはならない。
何だか前を走るタクシーがちんたらしていたので傍らをすり抜けて追い抜こうとしたら、目の前にいきなりガラスの窓が飛んできた。そして地面に落ちて粉々に散らばった。ちんたらしていたのはドアが閉まらなかったのが原因であったようだ。で、閉まった途端に窓が外れた。慌ててブレーキをかけようとするが、後ろに何かが迫っている気配を感じていたので急ブレーキをかけられず飛び散ったガラスをタイヤが踏んだ。パンクしなかった。車のガラスは割れても尖らないから意外とパンクしないようだ。それよりも何で窓ガラスが飛んでくるんだよ、おい。走りながらよく考えたらあと1m進んでいたら、足かどっかに当たっていた。ゾッとした。それでもタクシーは何もなかったように走り去って行った。まったく暢気だよここは。
坂を上っていたら子供たちが走って付いてきた。「お金ちょうだい?」「ノーマネぇ!」とっても嬉しそうに笑っている。何でそんなに嬉しそうなんだー
また今度は私の自転車に付いている水ボトルを指さして「それちょうだい?」「ノー」そしたら手を伸ばしてきたのでパシッ!威嚇したらそれでも笑っていた。何て逞しいんだ。
日も暮れかけていたのでここらでと思っていると後ろから自転車少年が付いてきた。彼は学費を払えず今は学業を中断していた。学費を手に入れるべく自転車ポーターをやっているのだという。一日130円くらいを稼ぐ。一回人を乗せるとだいたい10円。定食が100円くらいの物価。彼はいつのなったら復学できるのか?その彼が親切に宿を紹介してくれた。これまた未舗装で雨にえぐられた急坂を上る。途中に日本のODAで建てられた学校があった。彼が「ありがとう」と言ったが、初め何に言っているのかわからなかったが、あとで考えたら日本のサポートに対して言っていたのかもしれない。私が日本から来たことは知っていたので。
さて宿が見えた。いつもの売春宿っぽさは微塵もない。これは高いに違いない、とすぐに感づく。彼曰く、村にあるから安いよ、きっと。だったが安い部屋でも2000円だった。おい、君の2/3か月分の値段だぞ!私は断念しようと去ろうとするが、部屋を見てから決めればいいと言われ、いやいや見るも何も宿に1000円以上は出せないから別を探すよと言うが、宿の人は何だかまだ何か引きずっている。それならばテントで泊まれないか?尋ねると、オーナーに聞いてくると言う。そしてオーナーがやってきた。顔の丸いおっちゃん風のルワンダンだ。青いストライプのシャツが決まっている。テント泊を希望すると即答でOKがでた。かくして久しぶりのテント泊となった。値段を聞いたら、宿に泊まるわけじゃないから料金は取らないよと言ってくれた。卑しい私めはそのお言葉に甘えます。
喉が渇いたので近くの水道で水を飲む。むむ、少し土の味がする。でも冷たくて旨かった。後でもう一度水をボトルに汲んで飲もうとしたらユスリカの幼虫が泳いでいる。天からの恵みか?何か変だ。もう一度水を汲みなおすも、また一匹のユスリカの幼虫君がくねっくねっと水で嬉しそうに踊っている。急にこの水を飲めなくなった。まったく人間ってのは見た目に弱い。目に見えない細菌なら飲んでも平気だが(精神的に)、一度クネクネを見てしまうとそれが飲めなくなる。結局日本から持ってきた濾過器で濾して飲むことにした。ラーメンを作ろうとすると燃料切れで途中で火が切れた。ブルンジでパラフィンを買おうとするも結局見つけられず、そのまま忘れていた。ルワンダでは手に入るだろうか?結局乾燥ラーメンをボリボリとやって夕飯はすました。チーズと蜂蜜を買っておいてよかった。
これから向かう方向に高い山が見えた。
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