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2014年1月25日土曜日

中国からやってきた若夫婦

カロイKaroiの町は土曜日で休みということもあり酔っ払いが多かった。少し荒んだ風に見えて危ない気がしたので人の集まった場所をそそくさと離れた。今日は道中たくさん物ねだりに出会っていたので、カロイの町での人の呼びかけが少し鬱陶しく感じられた。

夕飯を食堂で済ませて、警察署の敷地にテントを張らせてもらうようにお願いしに行く。待っている間にある警察官が「あそこに中国人がいるからそこに連れて行った方がいいんじゃない?」と別の警官に提案している。別の警官も「あぁ、それがいい」と同意している。また別の警官は「彼は中国人じゃない」という私と同感の正論を吐いたが別の声にかき消された。以前南アでヒッチハイクした時に経験したことから、断られる、と直観的に思い「ここに泊めてくれ」と懇願するも、彼らの善意(彼らにとっては同じ人種同士だからそっちの方が落ち着けるだろうという考え)によってその中国人パン工場を訪ねてみることにした。南アで経験したのは乗車拒否だ。ヒッチハイクで停まってくれた車は中国人が運転していた。彼は私を中国人と見たのだろう。中国語で話しかけてきたが私は英語で日本人であることを伝えた。すると「悪いが乗せられない」と拒否されてしまったのだ。このことから外国で生活する中国人は内輪の結束力は強いが排他的だなという印象を持っていた。それが警官の提案を素直に受け入れられない一因であった。

しかし実際行ってみるとパン工場の若い中国人オーナーは私を拒むどころか家に招いてくれた。彼の家はパン工場から車で10分位離れたところにあった。自転車を彼のピックアップに乗せてもらい彼が暮らす家に向かった。にぎやかな街から離れた閑静な住宅街で、そこに立つ家も白塗りの壁を持ち美しい。ゲートを入ると芝生の庭に車の轍が一本通って家まで伸びていた。まだ電気が付いていない夕暮れの家の台所では彼の奥さんが夕飯を作っていた。部屋を一室与えられそこに泊めてもらえることになった。夕飯ができると「ささ、夕飯でもどうぞ」といった感じでダイニングに招いてくれた。

白いムチっとした饅頭、優しい味のゴマと胡桃餡が詰まった米粉饅頭スープ、繊細に千切りされたジャガイモのきんぴら炒め、チンジャオロース。三人で食卓を囲んでもちろん箸を使って食べた。懐かしい味にホッとした。すべて原料から奥さんの手作りだ。彼らはこの町でただ一家族の中国人。近くに叔父さんがいるという話だったが、若い夫婦二人で覚悟を決めてチャイニーズ・アフリカンドリームを求めてやってきたのだろう。アフリカにはとても多くの中国人が商売目的にやってくる。南アではどんなに小さな町でもチャイニーズショップが一軒はあった。そしてその多くが繁盛している。彼らの多くは田舎出身で中国での暮らしよりもアフリカでの暮らしを選んだ。
とても堅実にアフリカの小さな町でそこに暮らす人々に溶け込んで生活している彼らは下手な支援よりもアフリカにいい影響を与えているのではないか、と感じた。

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