牛糞だ。
道沿いには小さな野豚がフェンスを越えて、人々が車から捨てるごみを漁りにくるが、放牧中の牛も相当数歩いている。
それらは車が大きな音を鳴らしながら通り過ぎても、頓着しないが、こと私の自転車には驚いて取り乱す。
見慣れていないせいであろう。
野豚は目が悪いのか、20mくらいに近づくまでは暢気に餌を漁っている。
それから何か来た!と動きが止まり、こちらを二秒ほどじっと見つめる。
ようやく何者かを確認するとすっ飛んで逃げていく。その様が可愛くて、わざとそっとこいで近づいては驚かせて笑っていた。
ナミビアはOで始まる地名が多いが、これはなんと発音していいものか、自転車こぎながらブツブツ口籠っていた |
オチワロンゴ(Otjiwaronngo)のガソリンスタンドで泊まろうと思ったが、店でNamCola(ナミビアのコーラ)を飲んだら俄然やる気が出てきて、もう少し漕ぐことにした。曇り空と日暮れで薄暗くなった中を走っていると、前方に車が停まり、人が出てきた。
どうやら南アとナミビアの国境で入管審査局の記録簿に私が彼の前に記入しており、「乗り物」の欄に自転車とあったのに驚いたのだという。
私は砂漠に向かう道を取っていたので首都に向かった彼とは会えていなかったのだ。
そしてここで会えた偶然に喜んでくれたのだ。
そして彼はこれからの道にある知り合いのキャンプ場を紹介してくれ、「自転車の日本人をよろしく頼む」と電話までしてくれた。(結局は場所が特定できずに行けなかったのだが)
本日の寝床は牧場へ続く農道で、テントの周りは牛糞たっぷりだ。
もう牛糞の点々が水玉模様に見えてきた。
でも乾いているので全然臭いはない。下も砂地で快適な場所だ。
オチワロンゴで買った青リンゴを齧っていると、自転車に鉄砲を積んだお爺さんがやってきた。
彼は農場の警備員だった。
英語が通じないので身振り手振りで、ここに泊まりたいのだが問題ないかを聞くと、分からないから牧場主と直接話してくれと電話を掛けてくれた。
すんなりと許可が下り、そこに泊まらせてもらうことになった。
そしたらお爺さんは、何かあったら私に電話をしなさい、と電話番号を教えてくれ、私の警護も引き受けてくれたのだった。
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