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2014年8月21日木曜日

0821 食堂の女の子

地図にもない小さな町だったが宿はなんとか見つけられた。エチオピアでは宿はPensionと表記されていることが多い。Hotelの場合もあるがただのレストランである事もあるので紛らわしい。
私はアムハラ語を話せないのでPensionを連呼していろんな人に聞いて回る。ちょっと間違えば変なオジサンだ。エチオピアで気を付ける必要があるのは、俺が案内してあげる、と言って寄ってくるハンミョウ男だ。まぁ、道案内されてチップを払うような成熟した心得を持ち合わせている余裕ある旅人なら何ら問題は無いが、そもそも道が一本のところなので、指差して貰えばこと済むものをわざわざ着いてきて「はい、チップちょうだい」と言うのに耐えられない狭小貧乏旅行者には少々鬱陶しい。しかもだいたいそういう奴が案内するのは貧乏旅行者の要求に答えるようなものではなく、満足したことがない。自分の足と感覚を頼りに良心的な人々の助けを借りて見つけたほうが圧倒的に良い物が得られる。でも難しいのは本当に困っている外国人を助けたいと思って近づいてくる人も排除しかねない事だ。こればかりは経験で見分けるしかない。
今日は珍しく宿探し時にハンミョウ男に付け回されなかった。
宿はまだ新しく綺麗だった。相変わらずドアの建付けは悪いけど。宿のオーナーなのか、管理人なのか分からなかったが、物静かなおばちゃんが管理していた。やって来る知人に丁寧に挨拶し、ハグして喜ぶ彼女は一瞬一瞬を大事に生きていうように見えた。そして娘らしい10歳になるかならぬかという少女が敷地をフラフラしていた。そもそも私がアムハラ語を話せないので、おばちゃんは最初ですでに言葉を使うことを諦めたようだった。困ったファランジですねぇ、、、といった素振りも見せずに。慣れたもので一見冷たく見える無言のジェスチャーで的確に宿のことを説明してくれた。
ドアを開けて荷解きしていたら興味津々の少女が覗いていた。何だーい?と尋ねるとフニャッと照れ笑いして何処かへ行ってしまった。
夕飯に近くのレストランに出かけた。店内には中学生、高校生くらいの女の子が3人。と子猫一匹。コーヒセットの前には物静かな少女が座っている。彼女がバリスタだ。はじめにニッキのような味の甘い紅茶を頂いた。
千切れた焼そばが散らばったようなアムハラ文字一色のメニューに苦戦しているファランジを哀れに思った快活な一番年少の女の子が、一生懸命知っている英単語を駆使してメニューを説明してくれた。学校で英語を習っているという。自分が中学生くらいの時は英語をしゃべる人がいたら避けていたに違いない。しかしいま目の前にいる女の子はエチオピアの言葉を理解し得ない怪しいオジサンに物怖じするどころか積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれている。これは最高のホスピタリティだと思う。こうやって私もホスピタリティを日々学んでいる。お陰で野菜がたっぷり載った美味しいインジェラを食べることができた。そして店の大ママも出てきて私が食べるのを皆で見守っていた。美味い顔して食うのは私の得意とするところ。いや心の底から美味いと思うのが得意なのだ。今日もおいしい料理を食べられる事に感謝して、ありがとう。
帰るときは女の子達が手を引いて宿まで連れて行ってくれた。町はあまり灯りがない上、穴だらけで危ないのだ。アフリカはどこでも男でも女でも手を繋いでくる。ちょっと照れながらもなんだかその柔らかな手に引かれ宿まで戻った。
日本で中学生くらいの女の子と手を繋いだらアウトかもしれない。エチオピア人でもそうかな。これは外国人特権ってやつかもね。

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