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2013年12月20日金曜日

自転車屋のおやじ

ジンバブエに入ってから自転車をよく見かけるようになった。
南アフリカでは自転車が普及する前に車が普及してしまったせいか、あまり自転車を目にする機会がなかったのとは対照的だ。
ナミビアでもよく見かけたが、ナミビアで見る自転車は車輪の軸がずれているのがほとんどだった。
田舎で水汲みにしばしば利用されていた。それにしても不思議なくらいにどの自転車も軸がずれている。
そして部品を買えないせいか、さまざまな応急処置が永久処置として使われていて、感心したのを思い出す。
ジンバブエでは都市部でも自転車に乗っている人が多く、その多くは日本と同じように様々な生活のシーンで利用されている。


彼らの乗る自転車は決して新しいものではないのだが軸がぶれているということはない。
整備がよくされている。
町の自転車屋(Mathebele Cycle Shop)を見つけた。
火力発電所の北隣のブロックにある。
火力発電所


今までの4000kmの走行でタイヤの溝が消え薄くなっていた。
ジンバブエの道路脇には、それが義務であるかのようにビール瓶が割れて散らばっている。
ピルスナーの緑のやつだ。
それが100mから200m位おきに散らばっているのだ。
避けようと努力しても割れた瓶の上を走らねばならない時がある。
それを何度か繰り返していたら、薄くなったタイヤが一部裂けてしまった。


中のチューブが見えているがチューブは無傷だったのでBulawayoまで頑張ってもらった。
タイヤにはとても強い繊維が埋め込まれているので、そのような状態でも案外頑張ってくれる。

中国ショップやインドショップでも売られているが、やはり自転車屋を見てみたかったのでそこで買うことにした。
店に入ると女性が二人カウンターに立って客の対応をしている。
その後ろには様々な部品や道具がきれいに並べられた棚が壁につけてあった。
どんな部品があるのか見ているとなんとスポーク・スクリューがあるではないか!
日本から持ってきていたスポーク・スクリューがダメになってしまっていたので助かった。
タイヤはロフトっぽくなっている二階の壁に掛かっている。
そのロフトには同じ型のピカピカに輝く新品の自転車が20台くらい並んでいた。
インド製だ。
私が買ったタイヤもインド製だ。

しばらく自転車屋をウロウロしているとスモークガラスが開いて自転車屋のおやじが顔を出した。
自転車を直してずいぶん長いらしく、こだわりを持って仕事をしていそうな人だ。
この店は土日は休みだろうか、と尋ねると
「ばっきゃろう、俺は休みは取らねぇ。休みは死んでから取るんで十分だ」
と冗談なのか本気なのか掴めない。
実際土日も開いていた。
本当に休みがないのか、と聞くとクリスマスは休むと言っていたのでホッとした。
こんなに働く人はアフリカでは珍しいので嬉しくなって、タイヤを二本買ったら安くなる?
と聞いたら「10本買っても100本買っても一本10ドルに決まってるだろうが」と一蹴された。
そんな芯のぶれない感じにも惚れてしまった。


修理依頼に来ていたおじさんの自転車を見せてもらうと、ブレーキのシステムが日本でよく見る挟むタイプとは違うのを発見した。
上から引っ張ってタイヤのリムを抑える方式を採用していた。
もちろんそうなるとタイヤのリムの形状も異なってくる。
自転車の主流の進化とは違うところでインドの自転車は進化し続けていくのだろう。
「この自転車は本当に丈夫だよ。牛乳を20kg積んでも大丈夫だ」と客のおじさんは満足そうに修理された自転車に乗って去っていった。


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